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東京地方裁判所 平成5年(ワ)22460号 判決

原告

有限会社広戸工建

右代表者代表取締役

浜谷末作

原告

藤田とし子

藤田尚美

藤田友美

藤田文美

右三名法定代理人親権者

藤田とし子

右原告四名訴訟代理人弁護士

佐藤忠宏

被告

エイアイユー

インシュアランスカンパニー

日本における代表者

吉村文吾

右訴訟代理人弁護士

関本隆史

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一  原告らの請求

一  被告は原告有限会社広戸工建(以下「原告会社」という。)に対し、金二〇四〇万五〇〇〇円及びこれに対する平成五年三月九日から支払済みまで、年六分の割合による金員を支払え。

二  被告は原告藤田とし子に対し、金七五〇万円、同藤田尚美、同藤田友美及び同藤田文美に対し、それぞれ金二五〇万円、並びにこれらに対する平成五年三月九日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

一  本件は、クレーンを操作していた従業員が転倒したクレーンの下敷きとなって死亡したことから、原告らが、保険会社である被告に対し、普通傷害保険契約及び自動車総合保険契約に基づいて、保険金の支払を求めた事案である。

二  争いのない事実

1  当事者

原告会社は土木工事業を営む会社であり、被告は、自動車保険等保険業務を取り扱う会社である。

2  普通傷害保険契約

(一) 原告会社は、被告との間で、平成四年七月四日、以下の内容の普通傷害保険契約を締結した(以下「本件傷害保険契約)という。)。

(1) 保険期間 平成四年七月六日午前六時から平成五年七月六日午後四時までの間

(2) 被保険者 原告会社の従業員全員

(3) 保険内容 被保険者が事故によって被った傷害に対して保険金を支払う。

(4) 契約種類 普通団体契約

(5) 受取人 原告会社

(6) 給付金額 死亡事故 金二〇四〇万五〇〇〇円

(二) 本件傷害保険契約の傷害保険普通保険約款には、左記の各規定がある。

「第一条(当会社の支払責任)

① 当会社は、被保険者が急激かつ偶然な外来の事故(以下「事故」といいます。)によってその身体に被った傷害に対して、この約款に従い保険金(死亡保険金、後遺傷害保険金、入院保険金、手術保険金及び付添看護保険金をいいます。)を支払います。

第三条(保険金を支払わない場合―その1)

① 当会社は、次の各号に掲げる事由によって生じた傷害に対しては、保険金を支払いません。

(4) 被保険者が法令に定められた運転資格(運転する地における法令によるものをいいます。)を持たないで、または酒に酔ってもしくは麻薬・大麻・あへん・覚せい剤・シンナー等の影響により正常な運転ができないおそれのある状態で自動車又は原動機付自転車を運転している間に生じた事故」

3  自動車保険契約

(一) 原告会社は、被告との間で、平成四年九月二九日、以下の内容の自動車保険契約を締結した(以下「本件自動車保険契約」という。本件傷害保険契約及び本件自動車保険契約を、「本件各契約」という。)。

(1) 保険期間 平成四年九月三〇日午前六時から平成五年九月三〇日午後四時までの間

(2) 被保険自動車 登録番号 相模一一と九四三九

車台番号 FK四一七J―五二二〇五〇

(3) 運転者年齢条件 年齢を問わず担保

(4) 運転者限定 なし

(5) 契約種類 (PAP)自動車総合保険

(6) 給付金額 自損事故(身体)金一五〇〇万円

(二) 本件自動車保険契約の普通保険約款、第二章自損事故条項には、左記の各規定がある(以下、本件傷害保険契約第三条①(4)及び本件自動車保険契約第三条①(2)を、「本件各免責条項」という。)。

「第一条(当会社の支払責任)

① 当会社は、保険証券記載の自動車(原動機付自転車を含みます。以下「被保険自動車」といいます。)の運行に起因する急激かつ偶然な外来の事故により被保険者が身体に傷害(ガス中毒を含みます。以下同様とします。)を被り、かつ、それによってその被保険者に生じた損害について自動車損害賠償保障法第三条に基づく損害賠償請求権が発生しない場合は、この自損事故条項および一般条項に従い、保険金(死亡保険金、後遺傷害保険金、介護費用保険金および医療保険金をいいます。以下同様とします。)を支払います。

第三条(保険金を支払わない場合―その1)

① 当会社は、次の傷害については、保険金を支払いません。

(2) 被保険者が法令に定められた運転資格を持たないで、または酒に酔ってもしくは麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で被保険自動車を運転しているときに、その本人について生じた傷害」

4  本件事故の発生

(一) 事故の日時 平成五年三月七日午後九時三〇分ころ

(二) 事故の場所 神奈川県相模原市上溝四〇七八先市道の公共下水道大沢汚水幹線整備工事現場

(三) 被害者 訴外藤田義隆(以下「亡義隆」という。)

(四) 事故の態様 原告会社の従業員であった亡義隆が、本件事故現場において、本件自動車保険契約の被保険自動車(以下「本件自動車」という。)に設置された小型移動式クレーンであるユニック2.9トン(以下「本件クレーン」という。)を操作してユニホールを吊り上げたところ、本件クレーンのバランスが崩れて転倒し、同人の下半身が本件クレーンの下敷きになり、同人は、同月八日午後六時五八分死亡した。

三  争点

1  本件各免責条項所定の免責事由の有無

(一) 被告の主張

本件各免責条項が、「法令に定められた運転資格」を有しない場合を免責の要件としたのは、法律上許されない、あるいは保護すべきでない行為によって生じた事故による傷害について、保険金を支払うことは相当でないとの趣旨、及び、これらの不法行為ないし不正行為に対して保険金を支払わないことによってこれらの行為を未然に防止するという趣旨に出たものである。この観点からすれば、右各条項における「法令に定められた運転資格」には、自動車の運転についての資格、すなわち道路交通法上の自動車運転免許に限定されず、他の法令により定められた資格も含まれ、労働安全衛生法六一条、労働安全衛生施行法令二〇条、労働安全衛生規則別表第三に基づく、クレーンについての運転資格も含まれる。

本件クレーンは、吊り上げ荷重が一トン以上五トン未満の小型移動式クレーンであるから、右各法令により、これを操作するためには、移動式クレーンの運転免許を取得するか、小型移動式クレーンの運転についての技能講習を修了することが必要であるにもかかわらず、亡義隆は、本件事故当時、右免許を有することなく、かつ、右技能講習を修了することなく、本件クレーンを操作していたのであるから、本件事故は、本件各免責条項にいう「法令に定められた運転資格」を持たない場合に該当する。

以上によれば、本件事故は本件各免責条項に該当するから、被告は、原告らに対し、本件傷害保険契約及び本件自動車保険契約に基づく各保険金を支払う義務を負わない。

(二) 原告らの主張

本件各免責条項にいう「法令に定められた運転資格」とは、右各契約の文言上これに続く「自動車を運転している間に生じた事故」という文脈と関連して、自動車の運転についての資格を意味すると解するべきであるから、クレーンの操作についての資格はこれに該当しない。また、小型移動式クレーンの運転についての技能講習は、これを受講するだけで修了でき、かつ、その修了者については公的機関による資格取得者の名簿管理もなされていないのであるから、このような比較的軽い資格は、右にいう「法令に定められた運転資格」には該当しない。

なお、本件各免責条項にいう免責の対象となる傷害は、「被保険自動車を運転しているときに、その本人について生じた傷害」と規定されており、亡義隆は、自動車を停止させたままの状態でクレーンだけを移動させていたのであるから、運転していたとはいえず、そもそも免責条項の適用はあり得ない。

以上のとおり、本件事故は本件各免責条項に該当せず、被告は原告会社に対し、本件傷害保険契約に基づいて金二〇四〇万五〇〇〇円の傷害保険金の支払義務を、また、被告はその余の原告らに対し、本件自動車保険契約自損事故条項に基づいて合計金一五〇〇万円の自動車保険金の支払義務をそれぞれ負う。

2  告知義務違反の有無

(一) 原告らの主張

仮に、クレーン操作の資格が本件各免責条項にいう「法令に定められた運転資格」に該当するとしても、免責条項は保険募集の取締に関する法律(以下「保険募集取締法」という。)一六条一項一号にいう「保険契約の契約条項のうちの重要な事項」に当たり、被告はその内容を原告会社に説明、告知すべきであったにもかかわらず、何らの説明もしなかったのであるから、被告は免責されない。

(二) 被告の主張

被告は、本件各保険契約の締結に際し、原告会社の代表者に対し、パンフレット等を使いながら、本件各契約の重要部分を説明しているのであるから、被告に保険募集取締法一六条一項一号に違反する事実はない。

第三  争点に対する判断

一  前記争いのない事実、甲一(枝番の表示は省略する。)ないし一〇、一二、乙一ないし六、証人平野功、原告会社代表者本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められ、これを覆すに足りる証拠はない。

1  本件各契約の締結の経緯

原告会社は、被告との間で、平成四年七月四日、本件傷害保険契約を締結し、同年九月二九日、本件自動車保険契約を締結した。本件傷害保険契約の締結に当たっては、訴外平野功(以下「平野」という。)の経営する平野保険事務所が代理店となり、原告会社の代表者である訴外浜谷末作(以下「浜谷」という。)に対し、パンフレットに基づいて支払われる保険金の額等の保険契約の内容を説明した上、右パンフレットを交付した。平野は、浜谷に対し、免責事由について口頭で、特別の説明はしなかったが、浜谷に交付した右パンフレットには、保険金を支払いできない場合として、自動車などの無資格運転が記載されていた。また、本件自動車保険契約については、平野は、原告会社が当時既に別の保険会社の自動車保険契約に加入していたことから、浜谷に対し、口頭での説明もせず、またパンフレットも交付しなかった。本件各契約の締結から約一〇日後、浜谷は被告から、本件各契約に係る保険証券及び保険約款を受け取った。

2  本件事故の態様

平成五年三月七日、亡義隆は、本件事故現場において、下水工事のため道路に掘った穴にユニホール(人孔)を入れて埋め戻す作業をするため、吊り上げ荷重が2.9トンの移動式クレーン(荷を動力を用いて吊り上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置で、原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に移動させることができるもの)である本件クレーンを操作して、これを搭載した本件自動車の荷台からユニホールを穴の中へ吊り下げる作業をしていた。本件クレーンは、積載型トラッククレーンであり、本件自動車の荷台と運転室の間にクレーン装置を搭載し、本件自動車の走行用の原動機を動力に用いてクレーン装置の作動を行うものであった。亡義隆は、車道上に本件自動車を停車させ、対向車線側に対しては、アウトリガーと呼ばれるクレーンの安定性保持のための張出し式の脚を張り出したが、歩道側にはアウトリガーを張り出すことなく作業をしていたところ、本件自動車の荷台からユニホールを吊り上げた際に、本件クレーンがバランスを崩して、同人の下半身の上に転倒し、同人は、同月八日午後六時五八分死亡した。

3  亡義隆のクレーン操作の資格について

本件クレーンのような小型移動式クレーンを運転するためには、移動式クレーン運転士免許を受けるか、又は小型移動式クレーン運転技能講習を修了することが必要とされ(労働安全衛生法六一条、同施行令二〇条及び同規則四一条別表第三)、右免許を取得した者に対しては免許証が交付され(同法七二条)、右技能講習を修了した者に対しては、運転技能講習修了証が交付されるのみならず(同法七六条)、右免許取得者については労働基準監督署がその名簿を備え、また、東京都内における右運転技能講習修了者については、指定教習機関がその名簿を備え、資格を有する者を把握管理している。

原告会社は、昭和五六年に設立された土木業に従事する会社であり、当時四トンダンプを六台とクレーン車を二台所有していた。亡義隆は、元土木業を営む他の会社で監督をしていたが、昭和六二年原告会社に転職した。浜谷は、亡義隆に対して、クレーン操作についての資格を有しているか質問したところ、亡義隆は、口頭では資格があると答えたものの、再三にわたり、資格証(ないしその写し)を提示することを約しながら、結局、浜谷に、クレーン操作のための資格証を提出することはなかった。また、本件事故現場に掲示されていたクレーン操作についての有資格者の一覧表には、亡義隆の氏名は記載されていなかった。さらに、本件事故後、浜谷は、亡義隆がクレーン操作のための資格を有していないかどうかにつき調査し、技能講習修了証を捜したが、発見できなかった。

二  右認定した事実を基礎として、本件各免責条項所定の免責事由が存在するか否かについて、検討する。

まず、本件各免責条項にいう「法令に定められた運転資格」に、労働安全衛生法六一条に基づくクレーンの操作についての資格が含まれるかどうかについて判断する。

本件各免責条項には、法令に定められた運転資格を持たないで、または酒に酔ってもしくは麻薬・大麻・あへん・覚せい剤・シンナー等の影響により正常な運転ができないおそれのある状態で自動車等を運転しているときの事故については、被告は保険金の支払をしないと規定されている。右各運転行為はいずれも、危険を発生させ、ないしはこれを増加させる蓋然性が極めて大きく、法令により自動車の運転行為が禁止されている行為であり、法令に違反する危険な行為に対しては保険金を支払うことは相当でないとの趣旨から、右のような免責条項が定められたものである。ところで、労働安全衛生法は、事業者は、クレーンを操作する業務については、都道府県労働基準局長の免許を受けた者又は都道府県労働基準局長若しくは都道府県労働基準局長の指定する者が行う技能講習を修了した者その他労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務につかせてはならず、右資格を有する者でなければ当該業務を行ってはならない旨規定し(六一条一項、同条二項)、右規定に違反した事業者及び右規定に違反してクレーンの業務に従事した者に対して、罰則を課している(同法一一九条一項及び一二〇条一項)が、このような規定を置いたのは、クレーンの操作には、転倒や衝突の危険があり、クレーン作業に従事している者のみならず、周囲の労働者や一般公衆にまで被害が及ぶおそれがあることから、クレーンの操作をする者に対し必要最小限の知識と技能を修得させ、知識と技能を修得した者にのみクレーンの運転業務に従事させることにより、このような災害を未然に防ぐこととしたものと解される。そうだとすれば、本件各免責条項にいう「法令に定められた運転資格」に、労働安全衛生法六一条に基づくクレーンの操作についての資格が含まれると解するのが相当である。

確かに、本件クレーンのように吊り上げ荷重が一トン以上五トン未満の小型移動式クレーンを操作するためには、小型移動式クレーンの運転についての技能講習を修了しさえすれば足りるものではあるが、たとえ、資格取得のための手続が比較的簡易なものであったとしても、前記の趣旨に照らすならば、小型移動式クレーンの操作に求められる資格が、本件各免責条項にいう「法令に定められた運転資格」に当たらないということはできない。

そして、前記認定のとおり、①本件クレーンを運転するためには、移動式クレーン運転士免許を受けるか、又は小型移動式クレーン運転技能講習を修了することが必要とされ(労働安全衛生法六一条、同施行令二〇条及び同規則四一条別表第三)、右免許を取得した者に対しては免許証が交付され(同法七二条)、右技能講習を修了した者に対しては、運転技能講習修了証が交付されるのみならず(同法七六条)、右免許取得者については労働基準監督署がその名簿を備え、また、少なくとも、東京都内における右運転技能講習修了者については、指定教習機関がその名簿を備え、資格を有する者を管理しており、資格を有していることの確認は容易であると考えられること、②亡義隆は、浜谷から、再三にわたり、クレーン操作のための資格証(ないしその写し)を提出するように求められたにもかかわらず、結局これを提出しなかったこと、③本件事故現場に掲示されていたクレーン操作についての有資格者の一覧表に、亡義隆の氏名は記載されていなかったこと、④本件事故後、浜谷は、亡義隆がクレーン操作のための資格を有していたかどうかについて調査し、技能講習修了証を探したが、これを発見できなかったこと、⑤本件事故は、アウトリガーの一方を張り出すことなく、クレーンを操作したことによって引き起こされたものといえるところ、運転技能講習を受講すれば、このような作業は実施しなかったと考えられること等の事情を総合するならば、亡義隆は本件クレーンを操作するための資格を有していなかったものと推認することができる。

したがって、本件事故は、本件各免責条項に該当する場合であるから、被告は、原告らに対し、本件傷害保険契約及び本件自動車保険契約に基づく各保険金を支払う義務はない。

なお、原告らは、本件各免責条項にいう免責の対象となる場合は、「被保険自動車を運転しているとき」と規定されているところ、亡義隆は、自動車を停止させたままの状態でクレーンを操作していたので、免責の対象となる運転とはいえないと主張する。しかし、前記のとおり、本件各免責条項にいう「法令に定められた運転」を道路交通法上の挟義の運行に限定して解すべき理由はないのであるから、原告の右主張は、前提において失当である。

三 原告らは、仮に、亡義隆において本件クレーンを操作したことが、本件各免責条項にいう「法令に定められた運転資格」を有しないで本件クレーンを操作したことに当たると解された場合であっても、被告は免責条項の内容を原告会社に説明、告知すべきであったにもかかわらず、何らの説明もしなかったのであるから、保険募集取締法一六条一項一号に違反するものとして、被告は免責されるべきではないと主張する。

しかし、保険契約の募集に当たり、保険募集取締法一六条一項一号に違反した場合に、原告らが主張するような法的効果が生ずるか否かはさておき、以下のとおりの理由から、原告らの主張に沿う事実を認めることはできない。

すなわち、前記認定のとおり、被告の代理店を経営する平野は、本件傷害保険契約の締結に当たって、浜谷に対し、パンフレットを交付して、保険金の額、保険契約の内容等を説明していること、右パンフレットには、保険金を支払いできない場合として、自動車などの無資格運転が例示されていること、また、本件自動車保険契約の締結に当たっては、平野は、浜谷に対し、契約の内容等について、口頭で説明したり、パンフレットの交付をしたりしなかったが、これは、原告会社が当時既に別の保険会社の自動車保険に加入しており、その必要性がないものと考えたためであったこと等の事情に照らすならば、本件各契約の締結に当たり、平野に、重要事項につき、十分な説明、告知をしなかったと解することはできず、保険募集取締法一六条一項一号に基づく義務違反があったものとはいえない(なお、クレーン操作についての資格が、本件各免責条項にいう「法令に定められた運転資格」に当たるか否かについてまでは、同号所定の告知義務の対象とはならないと解すべきである。)

したがって、右義務違反があることを前提とする原告らの主張は、その余の点を判断するまでもなく理由がない。

第四  結論

以上によれば、原告らの被告に対する請求は、その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、訴訟費用の負担について、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官飯村敏明 裁判官竹内純一 裁判官波多江久美子)

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